Posts tagged ‘プロテスト’

October 21, 2014

【編集長からのお知らせ】今年3月から私が何をしていたか/香港プロテスト取材後の感想

ずっと前に報告しておくべきだったことだけれど、今年の3月くらいから火の鳥新聞ではなくて8bit Newsという参加者投稿型のNPO市民メディアで記事を書いています。8bit Newsは堀潤さんの始めた参加者投稿型の市民ニュースメディアです。堀さんはネットとテレビを繋げたがっていた人で、私の取材をTOKYO MXのモーニングCROSSで紹介してもらったりもしています。

1つ言えることは、ウェイトレスとかバーテンダーをしながら1人で編集長として反体制的な態度を持ってせっせと火の鳥新聞をやっていたときと、気分や見える世界が大分違うということです。なんというか、より社会に近づいた感じがします。新しく気づいたこともあり、逆に失った感覚みたいなものもあり、恐怖や戦慄があり、なーんだ社会ってこんなもんかと思うことがあり、突然コンテンポラリーという言葉の意味がピンと来たりします。ツイッターも馬鹿にしていたし、テレビのことも心底憎んでいたし、大して新聞も読まない人間だったのに、そういったタイプのメディアを意識し受け入れようとし始めたので当然けっこう辟易しています。

最も最近やった取材は、10月1日から10月16日の間、普通選挙を求める香港の学生のプロテストの取材です。プロテストは今も続いています。私はカリフォルニアでの約7年間の生活を終えて2013年の春に日本に帰ってきてから、滑り出しは悪くはなかったものの、じわじわとカルチャーショックとホームシックにやられてひどい混乱の中に陥りましたが、アジアと西洋が混じる香港という土地でほぼ日本抜きの時間を過ごして、カリフォルニアにいた頃の脳みそをフルで使って、日本社会の呪いにやられて病んだ精神を大分回復しました。そして人類は1つの繋がった世界に住んでいるということや、違う土地に行くと本当に世界が違って見えるという新鮮な実感を得ました。

香港のプロテストを取材し、毎日ストリートを占拠して普通選挙の実現を求める香港の人々の姿を見て、私は公民権運動に身を投じたアメリカの黒人の人達の姿を想像しました。今のアフリカン・アメリカン達が今のアフリカン・アメリカンの地位を有しているのは、過去に彼らが自由や権利を求めて戦ったからです。香港の人々は今立ち上がって戦っています。未来はわかりません。相手が中国なので、普通選挙の実現はかなり難しい、ということをほとんどの香港人は理解していますが、それでも声を上げて戦うことに意味があるとプロテスター達は思っています。彼らは例えば誇りや自由のような、お金以外の価値観を心の中に持っているのです。

香港では色んな人々に会い、皆自分の気持ちを語ってくれました。民主主義の大スポンサーであるアメリカ出身の男の子は民主主義自体をかなりシニカルな目て見ていました。プロテストを見に来て大興奮して帰った日本の大学生もいれば、あれは日本では絶対無理だ!という感想を持って帰った子もいました。ナイジェリアの男性は、ナイジェリアの腐敗した政府と次の選挙のことを語りました。そして中国からプロテストを見に来た学生カップルは、「これは中国では絶対にできないよ」と言っていました。みんな自分の国のことを想いながら香港のプロテストを見守っていました。

1つの政治的現実として、中国は香港をより中国的な場所にしようとしています。「香港は中国の一部だが、香港は世界に属している」というフレーズを聞きました。ここでいう「世界」というのは自由な情報の流れであったり、人権であったり、表現の自由ということだと思います。日本の言論環境や政府はけっこう中国的な感じがするので、日本も「世界」からあまり離れないでいてほしいと私は個人的には思っています。

書く予定では無かったことも書いてしまいましたが、とにかく私は今も書き続けています。

どうかこれからもよろしくおねがいします。

2014/10/22

hkmongkokstreet

A photo taken by Vic Shing in Mong Kok, Hong Kong

 

November 24, 2013

てんこもりだよ!【第10回: 日本アーティスト有意識者会議NAU】大詰めの特定秘密保護法案/国会での嫌われ者、メール・ファックス野郎/デモと言えば蝶ネクタイ/エンディングでのボレロ/そろそろ欲しい一勝etc

2013/11/25

昔僕らはもっとアーバンな(例えば中華料理屋のような)場所で政治について語り合ってましたね、と三宅洋平さんは話し出した。11月21日、第10回日本アーティスト有意識者会議NAUの公開生放送収録が都内某所で行われた。その晩、三宅さんは日比谷公園での特定秘密保護法案の反対デモに行っていた為会場には遅れて到着。『大デモ』企画の言い出しっぺでありながら、デモなんかやって意味あんのかよ!と思ったり、疲れてると面倒くさかったり、(酒の飲み過ぎで)体調が悪いこともあるけど、今日はやっぱり行ってよかった。得体の知れない勇気をもらったし、とても良い空気だった、と放送のオープニングで三宅さんは日比谷公園でのデモの感想を述べた。

今回の放送のゲストはラッパーのDELIさん、DJの沖野修也さん、参議院議員の山本太郎さん、ブロガーの座間宮ガレイさん、そして司会はフリーペーパーLJの編集長の菊池祟さんというてんこもりの顔ぶれ。

ナウ10

(左から)菊池さん、山本さん、DELIさん、三宅さん、沖野さん、座間宮さん

NAUを1年前に始めた頃は聴衆はゼロだったけれど、選挙フェスや他の様々な活動を経て1年経ってみると、彼らには多くのオーディエンス(もしくは新たに生まれたオルタナティブな政治勢力)がついていた。

今回の放送の主なトピックは、9万件(反対が約8割を占めた)のパブリックコメントが寄せられた極端に評判の悪い「特定秘密保護法案」や、三宅洋平さんが言い出しっぺの「大デモ」など。三宅さんや個性豊かなゲスト達による機知に富んだシャープな政治批評やユーモラスな社会風刺が飛び交い、会場は全体的に終始明るく和やかな雰囲気。しかし和やかなだけではなく、会場の空気はメリハリ良く恐怖や笑いや危機感や決意で満ちた。

<特定秘密保護法案が通った後の世界を妄想>

最も盛り上がったトークのトピックの1つが、特定秘密保護法案が通った後に起こるであろう混乱についてのトーク。

危惧されることの1つは、『スフィンクスの問答状態。』公務員や一般市民やジャーナリストが「何が秘密かは秘密」だから、理由もわからずに逮捕されるという事態が起こるわけだけれど、理由もわからない状態で逮捕するわけだから、逮捕する側とされる側の両方に当然混乱が生じるのではないのだろうか?「スフィンクスの問答」みたいになっちゃったりしてね、と三宅さん。「俺は知らん」「いや、俺も知らん」「俺こそ知らん」「お前の方こそ知らないのか」みたいな具合に。

『逮捕の理由もわからず、「秘密」を抱えたまま一体どうやって裁判をやるのか』というのもこの法案の大きな突っ込みどころ。特定秘密保護法絡みの裁判が起きたときに、逮捕された理由を裁判長すら知らない状態で、一体裁判はどのように行われるのだろうか?是非、仮に自衛隊員や公務員が機密を漏らしたという設定の「模擬裁判」をやって見せて欲しい、と一同興味津々。

政府は26日に特定秘密保護法を通そうとしているわけだけれど、具体的に廃案にするにはどうしたらいいのか今まで知らなかったから、今は躍起になってみんなで勉強する機会だと捉えるしかない、と三宅さんは言う。

この法案が通ったら塀の外に日本人がいなくなっちゃうかもしれないね。笑 入り切らないから順番待ち、みたいな。満員で入れないから「早く入れて下さい」みたいなね。笑 とジョークが飛ぶ。

とにかくグレーな部分が多いこの法案。この法案が成立することによって、みんなが口をつぐみ合うような社会の風土をつくれればいいのだろう。社会の空気が硬直し、同調圧力操作がなされる。例えば、原発の作業員の人達も「ヤバい」情報をたくさんもっている。原発やTPP絡みの取材はやりにくくなるだろう。

ブロガーの座間宮ガレイさんは、もし逮捕された場合「探さないで下さーい!」というビデオを流してくれと既に友人に頼んであるらしい。笑

<「サイバーテロ」の仕掛人、国会での嫌われ者「メールファックス野郎」山本太郎登場>

今回の放送には、参議院議員となって4ヶ月の山本太郎さんも出演。山本さんは、みかん箱の上に立って特定秘密保護法案の危険性を訴える為の街宣「全国キャラバン」で全国を巡った。キャラバンはマスコミは全く見に来ないけれど、街宣を始めると道ゆく人々が足を止めて、話を聞いているうちに人々の目の色が変わっていったと山本さんは言う。

キャラバン中、山本さんは地元の議員に特定秘密保護法案に対する反対の意思表明や 「この法案に反対してくれない場合、次の選挙からあなたにはもう投票しません」といったような、国会議員にとっては背筋が寒くなるような内容のメールやファックスを送ることを有権者に勧めていた。なのでおそらく国会では自分は迷惑な「メール・ファックス野郎」として認識されていると思うと皮肉たっぷりに語った。

山本さんによると、国会議員に対して最も効果のあるのはアナログな手紙やファックス作戦らしい。電子メールは「何件」と数字で片付けられてしまうけれど、ファックスは物理的に事務所に紙の山ができるという状況をつくれるので、ファックスや手紙の方が効果がある。だから大事なメッセージはデジタルよりもアナログで。

ちなみに、このファックス作戦に対して「サイバーテロを止めろ!」という苦情がある党からあったらしい。低予算でソーシャルメディアやボランタリーなネットワークを駆使してネット選挙を戦った山本さんや三宅さんにしてみると、ファックスをサイバーテロと捉える現実と乖離したセンスが新鮮であり「そりゃネット選挙できないわ!」と会場で笑いが起こった。

包丁や銃弾を送りつけられている山本さんの状態に比べれば、有権者の声や想いをのせたファックスによる「サイバーテロ」くらい、かわいいものではないのか?という素朴な疑問もある。

特定秘密保護法案に関して山本さんは、どっちみち逮捕されるなら、この法案を通さないために行動を起こして逮捕されたほうが、逮捕されるタイミングとしてはいい。通った後にやっても駄目だと言う。うるさい人達を黙らせるため、弾圧するためにある法案だから、この法案が通ってしまったら、黙った方がいい。だから通る前に、例えば10万人で国会審議を止めるようなことをやるとかしないといけない。とにかく今国会期中にこれを通させない。留保戦術で伸ばしてゆく、と山本さんは危機感の強いコメントをして会場を後にした。

<沖野修也:デモと言えば蝶ネクタイ>

「デモと言えば蝶ネクタイ」とデモについて楽しそうに語るのは沖野修也さん。

基本的に、おもしろくないと動きたくないというポリシーを持っている三宅さんが言い出しっぺのデモは当然おもしろくなる方向へと向かう。そのおもしろいものの1つとして、「沖野修也が蝶ネクタイしてDJすんのが見れるよ」とのこと。

そんな沖野さんが披露したのは、ドイツのミュンヘンで参加したデモでのエピソード。彼はミュンヘンのデモで会って仲良くなった女の子の家に遊びに行って、女の子の部屋に行くと、手作りのピースサインのプラカードが飾ってあるのが目に入った。デモの時には皆手作りのプラカードを作って、君のかわいいね、君のかっこいいね、となる。

デモのイメージとして、日本ではちょっと危ない人がやるのがデモ、というイメージがあるかもしれないけれど、その女の子によるドイツのデモの感覚は、「ピクニック以上、危ない人の集まり以下」というあたりのライン。絶妙な例えのように聞こえる。それが沖野さんにとっての15年前のドイツ。沖野さんは今年日本での選挙フェスや大デモを見て、やっと来たか!と歓喜している。

DJは踊らせやのイメージだけど、物事の価値観を変えるのがDJなのだと沖野さんは言う。踊れないはずの音楽で踊らせる、つまり価値観を変えるのが、僕にとってのDJの使命。三宅洋平が選挙演説の価値観を変えたように、自分もデモの価値観を変えるのに一役買いたいと言う。ドイツのミュンヘンで出会った女の子のようにデモの当日は「1人の参加者として、かわいいプラカードを持って参加します」と沖野さんはお茶目にエピソードを締めくくった。

<大デモ、定義は自由>

デモが何かは自分が定義する、日本人もそのくらいになっていったらいい、と三宅さんは言う。 「誰か」がやるデモだという簡単なファクターにすがりついてしまう日本人がまだいる。ナタリーの記事で、このデモは「三宅洋平が率いる」と称されていたけれど、それでは主体性がない。言い出しっぺではあるけれども、このデモは自分の手からどんどん離れていってほしい。みんなが好き勝手にやってほしい。そして海外のデモとはまた違ったデモカルチャーが日本から始まればいい、と三宅さんは話す。

デモの敷居を下げる、というのがデモの雰囲気を楽しくする為に「大デモ」がとっている作戦の1つだけれど、それは例えばTPPのような具体的なトピックが踊りすぎると政治にそこまで詳しくない人達が食いつきにくいから。人をたくさん集めることがデモの1つの大きな目的であって、「集まれ!」と叫びながら排除してはいけない。リベラル勢力はお金ではなく理念で結びついているがゆえに内ゲバが起きやすく、些細な理念やスタイルの違いが原因で排他的な空気となってしまうこともある。そうではなくて、漠然とした大きな部分での意思の共有はできるんじゃないかな僕ら、といったくらいのノリで自由に、難しいことは気にせずに参加して欲しいというのが大デモの趣旨。デモをどう使うかは自由。デモで歩きながら商談してもいいし、ただおしゃべりしてもいいし、食べ歩きしてもいいし、散歩のつもりでもいいし、デートしてもいいし、ナンパしてもいいし、パフォーマンスをしてもいい。悲壮感はいらない、楽しくやるのがいいし、実際楽しくないと続かない。

マスクしながらデモというのもインパクトがあると思う、とDELIさんは言う。被曝のこともそうだけど、旬を過ぎると、「まだ言ってるの?」となってしまうことが世の中には多くあるけれど、あえて言うのも大事。「参加してる人全員がガイガーカウンター持ってたりしてね」とジョークも飛ぶ。

実際、デモのコースの線量は測って公開され、デモ本部では子供向けのマスクを配布することが決まっている。デモにはマルシェやお店の出店もあり、 サウンドカーの上に某ファンクバンドがのって演奏するという企画もある。

「サウンドカーの速さもけっこう関係あるよね。サウンドカーが速くてついていけないこともあるよね」とDELIさんがデモにまつわるエピソードを話すと、会場の雰囲気はまた和やかになった。

<三宅洋平:45過ぎたら映画監督になりたい>

ミュージシャンとして知られている三宅さんですが「45越えたら映画監督になりたいんですよ」と唐突にもう一つの企てについて話し始めた。

三宅さんが描きたいのは、放射能の問題などもシビアな茨城あたりのヤンキーを主人公にして描く、国のリアリティーと自分たちの無力さに直面してもがく若者達の姿。

エンディングの曲は優雅で壮大な「ボレロ」と決めている。オーケストラの楽器が同じ旋律を繰り返しながら、曲の進行と共に1人ずつ1りずつ加わってピークへと向かう曲。

映画の終盤で、主人公が感極まって言葉にできない感じになって、とにかく国会に向けてバイクを走らせる。ボレロが流れる。楽器が加わり音が重ねられるにつれて、主人公の周りにも一緒に永田町へ向けて走り出す人達が1人、また1人と加わる。クライマックスでは、商店街のおじさんおばさん、女子高生、サラリーマン、ヤンキーに芸術家、エリートにミュージシャン、先生や公務員、自衛隊員から現場仕事の人から主婦まで、老若男女みんなが永田町に向かって走る!という感じのエンディングにしたいのだと三宅さんは語る。三宅さんが映画のエンディングについて話し終えると、沖野さんが「三宅さん。映画のエンディング全部ばらしてどうすんの?」とすかさずツッコミを入れる。三宅さんは「デリ君にも近所の喫茶店のマスターの役とかで出て欲しいな」と楽しそうに語った。

「大デモ、僕の中では「ボレロ」が流れてます」

<国会の若者っぽい言葉遣いと、そろそろ欲しい一勝 >

特定秘密保護法案について、今回ばかりは、「あーまた駄目だったね」で流してはいけない、国会の通行口を何万人もの人達で塞いで、国会議員が国会に入れないようにして法案を審議させないとかしてでも止めないといけない、と三宅さんや山本さんは危機感を露にする。ここで勝って、市民活動が「一勝」して、勝ちを経験しなければいけない。

このままでは民主主義のようで民主主義じゃない「民主主義状態」法治国家のようで法治国家じゃない「法治国家状態」侵されてはいけない憲法が侵されている「違憲状態」がずっとまかり通り続けてしまうことになる。

一票の格差を巡る問題で出現した「違憲状態」という言葉(実際はただの「違憲」)に対して、はぐらかす時の言葉遣いが若者っぽいな国会も、と三宅さんがコメントを添えた。「状態」の「正体」とは一体何なのか?と誰かが韻を踏んだ。さすがはミュージシャン。「韻とダジャレは紙一重」らしい。

政治を放ったらかさないと決めた今、「へー、法案ってそうやって決まって行くんだね」と現在進行形で僕たちは学んでいる。真剣ではありたいけど、深刻にはなりたくない。ネガティブな要素に見える放射能や原発のことを巡って、僕らはこんなに国のことを考え始め、今まで苦手だった科学や経済や政治のことを学び始めた。今こんなに僕らが必死になって勉強したり行動したりしているのは、放射性廃棄物というモンスターを抱えてしまったからだけれども、放射能というのは、神様が僕らに置き落としたものなのかもしれないという解釈が今の僕の中にはある、と三宅さんは語る。

これからの展望について、政治に対する反応の仕方や情報共有のツールも進歩しているから、今までと同じはずがない。法案を通すやり方、立候補した人を通すやり方、廃案にするやり方も僕らは学んでいる。直接的なことをたくさんの人数がやらないといけない事態になることもありうる。殺伐としたダイイングメッセージよりかは、平和の行進によって日本をつくっていきたい、と三宅さんは言う。