Archive for October, 2014

October 22, 2014

【記事アーカイブ】石垣市長選挙編(2012/3/2投開票):選挙後3日以内にニキビのように出てくる新聞の見出し

石垣市長選挙の現地ルポ

【石垣市長選挙】現地ルポ:中山義隆候補、砂川利勝、大浜長照候補、伊波洋一インタビュー

【石垣市長選挙】浮き彫りとなる平和構築へのアプローチの違い。中山氏再選後、両陣営後援者インタビュー

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今更ですが石垣市長選挙取材後記を書きます。

今年3月、石垣市長選挙の取材で初めての沖縄へ。何をしたらいいのかよくわからなかったので、とりあえず大浜長照さんと中山義隆さん両陣営の選挙事務所に行きインタビューをしたりしました。

世の中というのは細かいことや込み入った事情は気合いや覚悟がないと理解できないけれど、表面上はわかりやすいもので、選挙事務所1つ見ても、その陣営に選挙資金がふんだんにあるのか、それとも慎ましい草の根的な選挙運動をしているのか、肌感覚でなんとなくわかります。貧乏な人とお金持ちの雰囲気が違うようなもんです。後援者の雰囲気や服装からも考え方や価値観がなんとなく香ってきます。ある陣営に行けば、ご夫人達の服装がとてもキラびやかで忙しいデパートみたいな空気がして、ある陣営に行けば落ち着いた公民館のような雰囲気がします。ある人は静かに昔の戦争の犠牲について語り、ある人は気に入らない質問をされると記者を怒鳴りつけます。

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個人的な感想を言えば、非公式ながらもやはりこの選挙で一番大きな争点だったのは、自衛隊の配備だったと思います。選挙事務所に行ってみると、その選挙、もしくはその時代的文脈において本当は何が1番重要な問題なのかというのはすぐわかります。

中山さんの陣営と(市長選に口出しする)日本政府や防衛省は、自衛隊の配備が争点化されることを、地元沖縄の新聞社に異議申し立てをしてまで避けました。選挙情勢を変える可能性のある情報の火消しに躍起になっていたわけです。

ただここで少し気になるのが、それぞれの選挙陣営の持っていた緊張感やロジックや必死さは、島民の人達とうまく共有されているのかどうかということです。アメリカで選挙と言えば、選挙キャンペーン側が緊張すれば有権者も緊張し、応援している候補者がディベートを有利に進めたら日には乾杯でもしようぜ、みたいな、選挙後の未来に対する希望や憂いを孕んだ甚大なストレスを接着剤として有権者とキャンペーン側が精神的にくっつき一喜一憂する一体感のようなものがあります。(かなり疲れます)

青空のような民主主義をやるなら、自衛隊配備計画があることと、市長候補がそれについてどう考えているのかは住民に知らされるべきで、住民にはそれをただ受け入れたり、あるいは押し付けられるのではなくて、事実を知った上で議論したり影響を与える権利があるはずです。

だけど選挙の勝ち負けを気にするがゆえに、正々堂々と潔く「中国の海洋進出とかがあるからあなたの住んでいる島に新しく基地をつくりたいんだよね。その方が安心でしょう」とは残念ながら言わないわけです。とくにせんきょきかんちゅうは。その代わりに「どちらかというと基地推進派」だったり「中央政府の方針に従います派」の候補者は何をするかと言うと、経済成長や待機児童ゼロについて話したり、フィジカルな若さをアピールする為に島中を黄緑色のキャンペーンジャケットを着た運動員を引き連れてランニングしたりします。選挙ってややこしいです。

選挙が終わると、大体3日以内くらいに「にきび」のように真実がぽっと新聞の見出しに出てきたりします。今回その「にきび」は、中山さんの陣営がひた隠しにしていた自衛隊配備計画でした。

沖縄の本土にアメリカ軍の基地が集中しているのはわりに有名ですが、沖縄の離島は自衛隊の基地もアメリカの基地もないヴァージンです。石垣島や与那国島、奄美大島などへの自衛隊配備計画が、子供時代の終わりのように急速に進んでいます。

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石垣島で海を眺めていたとき、アジアが近くにあるんだと意識しました。少し離れた席に座っている、仲がいいわけでも悪いわけでもないクラスメートを、授業中にぼんやりと眺めているような気分でした。

沖縄知事選挙は2014年10月30日告示、11月16日投開票。

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October 21, 2014

【編集長からのお知らせ】今年3月から私が何をしていたか/香港プロテスト取材後の感想

ずっと前に報告しておくべきだったことだけれど、今年の3月くらいから火の鳥新聞ではなくて8bit Newsという参加者投稿型のNPO市民メディアで記事を書いています。8bit Newsは堀潤さんの始めた参加者投稿型の市民ニュースメディアです。堀さんはネットとテレビを繋げたがっていた人で、私の取材をTOKYO MXのモーニングCROSSで紹介してもらったりもしています。

1つ言えることは、ウェイトレスとかバーテンダーをしながら1人で編集長として反体制的な態度を持ってせっせと火の鳥新聞をやっていたときと、気分や見える世界が大分違うということです。なんというか、より社会に近づいた感じがします。新しく気づいたこともあり、逆に失った感覚みたいなものもあり、恐怖や戦慄があり、なーんだ社会ってこんなもんかと思うことがあり、突然コンテンポラリーという言葉の意味がピンと来たりします。ツイッターも馬鹿にしていたし、テレビのことも心底憎んでいたし、大して新聞も読まない人間だったのに、そういったタイプのメディアを意識し受け入れようとし始めたので当然けっこう辟易しています。

最も最近やった取材は、10月1日から10月16日の間、普通選挙を求める香港の学生のプロテストの取材です。プロテストは今も続いています。私はカリフォルニアでの約7年間の生活を終えて2013年の春に日本に帰ってきてから、滑り出しは悪くはなかったものの、じわじわとカルチャーショックとホームシックにやられてひどい混乱の中に陥りましたが、アジアと西洋が混じる香港という土地でほぼ日本抜きの時間を過ごして、カリフォルニアにいた頃の脳みそをフルで使って、日本社会の呪いにやられて病んだ精神を大分回復しました。そして人類は1つの繋がった世界に住んでいるということや、違う土地に行くと本当に世界が違って見えるという新鮮な実感を得ました。

香港のプロテストを取材し、毎日ストリートを占拠して普通選挙の実現を求める香港の人々の姿を見て、私は公民権運動に身を投じたアメリカの黒人の人達の姿を想像しました。今のアフリカン・アメリカン達が今のアフリカン・アメリカンの地位を有しているのは、過去に彼らが自由や権利を求めて戦ったからです。香港の人々は今立ち上がって戦っています。未来はわかりません。相手が中国なので、普通選挙の実現はかなり難しい、ということをほとんどの香港人は理解していますが、それでも声を上げて戦うことに意味があるとプロテスター達は思っています。彼らは例えば誇りや自由のような、お金以外の価値観を心の中に持っているのです。

香港では色んな人々に会い、皆自分の気持ちを語ってくれました。民主主義の大スポンサーであるアメリカ出身の男の子は民主主義自体をかなりシニカルな目て見ていました。プロテストを見に来て大興奮して帰った日本の大学生もいれば、あれは日本では絶対無理だ!という感想を持って帰った子もいました。ナイジェリアの男性は、ナイジェリアの腐敗した政府と次の選挙のことを語りました。そして中国からプロテストを見に来た学生カップルは、「これは中国では絶対にできないよ」と言っていました。みんな自分の国のことを想いながら香港のプロテストを見守っていました。

1つの政治的現実として、中国は香港をより中国的な場所にしようとしています。「香港は中国の一部だが、香港は世界に属している」というフレーズを聞きました。ここでいう「世界」というのは自由な情報の流れであったり、人権であったり、表現の自由ということだと思います。日本の言論環境や政府はけっこう中国的な感じがするので、日本も「世界」からあまり離れないでいてほしいと私は個人的には思っています。

書く予定では無かったことも書いてしまいましたが、とにかく私は今も書き続けています。

どうかこれからもよろしくおねがいします。

2014/10/22

hkmongkokstreet

A photo taken by Vic Shing in Mong Kok, Hong Kong