【憲法カフェ番外編】川内博史:知ることを諦めずに質問し続けることで物事をシンプルにしてゆく

2013/11/21

11月13日にせたがや がやがや館で行われた憲法カフェ番外編『秘密保護法案について話そう』で、プロジェクト99%の安部芳裕さんと、川内博史前衆議院議員が講演した。

憲法カフェ

講演が始まってまず川内さんがした話は処刑されるソクラテスの話だった。プラトンが書き残した、処刑前のソクラテスの最後の弁明の内容は、「アテネの皆は世界一の街に住んでいるが、お金や物に心を奪われて本当に大切な魂をどこかに置き忘れているのではないか?なんの為に生きるのか?本当に大事なのは『こころ』であると皆が思い出 してくれるのならば、私は喜んで処刑されよう」といった内容だった。川内博史さんは現在の日本でも多くの人々が物質的な豊かさにごまかされ、翻弄され、「こころ」をどこかに置き去りにしていると危惧しているのだろう。

川内さんは、一見うやむやに見える収集のつかなそうな事態も、沸いてくる疑問に対して丁寧に根気よく質問をし続けることによって、わかりやすくシンプルにし てゆくことができると言う。そしてシンプルな事実を国民が共通認識として持ち、安易なイメージや妥協による政治決定ではなく、慎重な審議や議論やしっかりと検証された確かな情報などに基づいて国をつくってゆくことが大切。未だに解明されていない原発事故の原因や、不必要な消費税増税などについて、川内さんは自ら政府や東電に質問し請求した、政府や東電のクレジット付きの資料に基づいたプレゼンを行った。

この記事では川内さんが福島第一原発一号機の原子炉建屋内で実際に行った検証作業などに焦点をあてる。

<福島第一原発1号機の原子炉建屋内での撮影と検証>

事実を解明してゆく作業の一環として、川内さんは今年の3月13日と28日に、自ら福島第一原発1号機の原子炉建屋に入って撮影を行った。原発事故の原因はまだ 解明されていないので、記録を残しておくことが極めて重要だからだ。爆発でぐちゃぐちゃになっている原子炉建屋の内部は、原発事故の原因を究明する為の証拠の宝庫。まだ専門家による検証作業が行われていないのは、建屋内の線量が高く、長い時間のかかる検証作業を行うことが困難な為。撮影した映像がチラチラしているのは高い線量の為。本格的な検証作業の前に東電に原子炉建屋の中を片付けられてしまうと永遠に原因がわからなくなってしまうので、できるだけ記録を残しておきたいと川内さんは言う。

<地震による配管損傷の可能性>

「津波による全電源の喪失」というのが1号機の水素爆発の原因とされているが、地震による配管損傷や原子炉損傷の可能性もある。もしも地震による原子炉損傷や配管損傷が原因だった場合、安全対策の講じ方や、既存の原発の安全基準にも当然より厳しく懐疑的な目を向けなければならなくなる。

川内さんの「地震による原子炉損傷の疑いについて解析をして下さい」という問いに対して、「爆発の原因はわかっていない」というのが現在の政府の見解。

<水素爆発が4階で起きたのか5階で起きたのか>

1号機の原子炉建屋の爆発が4階で起きたのか5階で起きたのかはまだわかっていないことの一つ。

原子炉建屋は5階建て。川内さんのカメラが入り、1階から上階へ上ってゆく。金属製の階段、配管、ちらかっている建屋内。オレンジ色の階段は4階から5階へ上がる階段だが、爆発で潰れているため、誰も5階へは行けない。

高温の水素ガスが溜まり爆発に繋がったわけだが、5階はオペレーションルームとなっており、火元がないので発火源がわからない。

4階の天井には大きく空いた口がある。5メートル四方の大物搬入口だ。5階での作業に必要なものを出し入れする穴で、作業する時以外は人が転落したりしてしまうと危ないので閉まっている。燃料棒の出し入れ作業などもそこで行われていた。しかし水素爆発の後、その大物搬入口を閉じていた1.5tの鉄板が紛失していた。東電はどこにいってしまったのかはわからないと言っている。5階で爆発が起こり、下に落ちていれば下の階のどこかにあるはず。しかし4階で水素爆発が起きたとすれば、蓋は上に吹き飛ばされたという可能性が出てくる。

4階で爆発したのか、5階で爆発したのかは事故原因解明において非常に重要なポイント。

<非常用復水器>

非常用復水器は、地震などの際に自動的に起動して原子炉に水を回し、8時間から9時間炉心を冷やし続けることによって炉心の安定を保つ。一号機の水素爆発は、非常用復水器がきちんと作動していなかった為に起きたのでは?という説がある。

記録によると、14:46 に地震が発生し、非常用復水器は正常に作動したが、15:03に停止したとある。なぜ停止したのか?東電側の説明によると、「原子炉圧力陽気温度の変化率が55度/hrを越えないように停止操作。(手順書あり)」つまり非常用復水器は15:03に手動で停止されていた。

そして川内さんが非常用復水器を止めた理由が書かれているはずの「手順書」を請求すると、たくさんの事項が黒塗りにされた手順書が東電から川内さんに渡された。黒塗りの手順書が「非常におもしろい」ということで、その手順書が、NATUREに”Information blackout seen in redacted manual” 「編集された手順書に見られる情報ブラックアウト」という不名誉なサブタイトルと共に国際的に権威のある科学雑誌の表紙を飾った。そしてその後に、黒塗りのとれた「手順書」が公開された。

<水位計の表示>

1号機の4階には、2つの非常用復水器A系とB系ある。2011年10月18日にB系水位が85%となっていたが、2013年3月28日には、水位計が100%を指している。

どういうことなのか?

これまで水位計の表示も事実解明の参考にされてきたわけだが、川内さんが「水位計自体は信用できないのではないですか?」と聞くと当時の東電部長(現在は上務)は「そういうことですね」と答えた。

「4階と5階で同時に水素爆発が起きている可能性がありますね?」という問いに対しても、当時の東電部長は「可能性は大いにある」と証言している。

これらの証言は、原発事故の原因解明に直結する可能性のある重要な証言だと川内さんは言う。

<一号機でだけ作動しなかった記録装置>

原発には非常時の記録を残しておく為の記録装置がある。地震が起きて津波がくるまでの間(全電源を喪失する前)は非常用電源が作動し、様々なデータが残されているはず。しかし実際は、1号機のデータが取られていない。

配管損傷があったのか、津波で電源喪失するまでは大丈夫だったのか?そもそもなぜデータがないのか?川内さんが質問をすると、「プリンターの紙づまり」の為に記録が残らなかった、と東電側から説明された。原子力防災科は「補助記録装置は無く、電子的な記録も残されていない」と言う。

日本全国の原発でまた何かあったときに、また「紙づまりではまずいんじゃないですか?」と川内さんは聞く。東電側から渡された資料を見ると、福島第一原発の1号機だけで、データのバックアップがとれない状態になっていた。

<2号機と3号機にはまだ人が入っていない>

原因究明が全く手つかずの状態で現政権は再稼働や原発輸出を積極的に進めているというのが事実。

事故後、2号機、3号機にはまだ人が入ったことはない。線量が高過ぎて入れないからだ。現場検証をしなければ事故原因の解明はできない。しかし事故の原因もわかっていないのに、原子力規制委員会は新安全基準を作成して再稼働しようとしている。

「(津波による電源喪失ではなく)地震による配管損傷の可能性」を実際に政府も認めている。

<ミリシーベルトという単位について>

聞き慣れた「シーベルト」という単位、実際に何を示しているのか?「シーベルト」とは、突き詰めると、「人が何人死ぬか」を示す単位だと川内さんは説明した。

人の体には約60兆個の細胞があり、 1ミリシーベルトの被曝をすると、60兆個全ての細胞に放射線が1本ずつ突き刺さる。2mSvだと2本、3mSvだと3本の放射線が全ての細胞に突き刺さります。放射線は細胞を傷つけ、修復される細胞もありますが、細胞が修復されなかった場合、そこから癌や白血病が発症する。

1mSvの被曝による癌で死亡すると推定される人数は一万人のうち0.5人。20mSvだと11人。

<未知の領域>

今月の18日に始まった核燃料棒の取り出し作業や、これから少なくとも40年はかかると言われている廃炉作業は、東電はもちろん、人類が今まで直面したことのない状況。

燃料棒取り出し作業の工程表には「これから研究します」と書いてある。全てのことについてこれから。除染、放射線廃棄物、使用済み核燃料棒の処理の技術、どれ一つとして確立していない。

東海村の使用済み核燃料棒最終処分研究所でもそれは同じ。問題は、全て「将来なんとかします」というのが今の現状。

東海村の研究所の試験で使われている核燃料棒は4メートルくらいの細い棒で、近づいたら人は即死してしまう為、厚いガラスの向こうにある。ロボットアームをつかって持ち上げ、切って、硝酸液をかけて溶かす、そしてそれをプールに入れる。川内さんが「プールの底はステンレスだから溶けるんじゃないですか?」と聞くと「そうでしょうが、将来なんとかします」と返ってくる。

こんな状態で原子力を使い続けるのは、正気の沙汰ではない。

1号機は水素爆発だったが、3号機は核爆発だった疑いもある(自発核分裂が起きていたことは政府は否定していない)。クロル38が出たという報告は政府の資料の中に存在する。 仮に水素爆発だったとしても、少なくとも広島型原爆の168発分の放射性物質がでている。しかし、もしも3号機の爆発が核爆発であった場合は、3桁くらい違った数字になってくる。情報が明確にされ、知らされなければならない。

情報公開は民主主義の大原則。人権が軽視、無視されがちな軍事国家、警察国家、ファシズムの元では情報は隠され、豊かで住みやすい人権社会では情報は公開されオープンになる傾向がある。「政府は国民が諦めるのを待っている」と川内さんは言う。知ることや、自分たちの民意を反映させることや、腐敗と戦うことを国民が諦めるのを政府は待っている。偽りでない豊かさを手にするには、当然私たちは諦めずに、真実を知ろうとしなければならない。国の舵を取ってゆくためには、私たちはまずは知らなければならない。

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